850℃で素焼きしたおよそ200個の器を
ひとつひとつ拭き清めて取り出します。
「Ai」のサインを書いて
箱に納めていきます。
絵付けの前にサインを書くのは、
以前よくサインを書くのを忘れて焼いてしまったから、
そして落ちやすいコバルトの顔料をできるだけ触らないためです。
3つの箱を部屋に運び、こたつ机の上で
次々絵付けしていきます。
素焼きした作品の取り出しに1日。
絵付けに2日、
釉薬かけと窯づめに2日。
ひとつでも多く入れるために
限られたスペースに
パズルのように器をはめこんでいきます。
名前を付けて愛用している中型電気窯「ミーティア号」の運転開始は夜10時。
蒸気を抜いて深夜1時に窯の蓋を完全に閉め、
朝6時に起きて手動で温度を少しづつ上げていきます。
10分以上窯から離れられないので、
窯の近くでブログを更新したり、
次の窯入れの準備をして過ごします。
夕方6時に目標温度の1250度に達しました。
この日は温度を少し急に上げてしまったので、
一度高い温度で15分とどまり、
少し下の温度でゆっくりねらしました。
二日後、西林寺の手づくり市から帰ると窯が45度に冷めていました、
少しまだ熱いのですが、少し窯の蓋を開けて固定し、
一時間ほど待ってから取り出しました。
焼く前は器と器のスキマは1~3ミリでしたが、それが大きくなっています。
熱の中で器が縮むのです。
試作を重ねたアジサイ柄の器が
やっとうまくいきました。
作品を取り上げると、
器と器のすきまに詰めた箸置きや小皿、
コーヒーマドラーが出てきます。
今回の焼きは
やわらかくしっとりした雰囲気のあがりです。
翌日からまた釉薬かけです。
窯の横の花壇から散歩中の犬をながめるのが
猫のレオ君の日課です。
窯づめが終わったのは深夜でした。
3日後、
かけ分けたり、重ねてかけた釉薬が
窯の中で溶け合い、
素地にコバルトとまっ白い泥で描いた模様を透かしています。
白っぽい藁灰釉は厚くかけると縮れる性質があります。
一つだけ、勾玉様にかけて回したところに
縮れができた茶碗があがりました。
こんなふうに縮れが出たのは初めてです。