Aiko Sanogawaya SHIRASAKI-coast Bowl Exhibition on google map
この日の朝「民宿 赤坂」のおかみさんの車で道成寺まで向かう道すがら、iPhoneが鳴りました。
という器の写真が付いたfacebookの投稿を見ての電話でした。
白崎海岸。あそこはあいちゃんの器にええよ。いっちょいで。
道成寺の参道でお昼に少し塩辛いラーメンを食べたあと
道成寺駅で電車を長い時間待ち、
バスあったかな~と渋い顔。
バス停まで一緒に出てくれて時間を見ると次のバスは50分後でした。
駅員さんにお礼を言ってタクシーに乗り、
道成寺でラーメンを待つ間にiPhoneで確認した
facebookを通じてMさんが以前行った時のブログ記事の写真を手掛かりにして、
タクシーは長い坂を登ったあと山の中を下りはじめ
町に入ると「白崎海岸」と矢印の示された場所を何度か曲り、
メーターも思った以上にぴんぴんと元気に上がったあと、
漁港が見え、水平線が現れ、海沿いの道の先に白く鋭い岩山が続いていました。
白い岩に青みのある岩も点々としていて
あまりにも私が知っている海岸と色合いが違うので心地よい驚きで面喰っていると、
ひときわ高く鋭い岩の手前で運転手さんが減速しながら、
これがそれー、
「じゃあこのあたりで、このあたりで、ずっとこれが続いているんですか?」
これがそれー、
「じゃあこのあたりで、このあたりで、ずっとこれが続いているんですか?」
運転手さんが道の先を指さして、
あのトンネルの上のコンクリートなってるところが海洋公園、その先まで。
波打ち際ではターコイズブルーを蒸留油で溶かしたような色が
白や青い岩の色を透かして複雑に響きあい、
うすい陽の光の青が海面に反射してあちこちで揺れつづけています。
うすい陽の光の青が海面に反射してあちこちで揺れつづけています。
海岸に降りると白い岩肌は波に洗われすべすべしていて、
ボーリング球にあるような穴がいたるところに開いているものもあります。
白い建物の中の観光案内のチラシが置かれた売店のカウンターに近づきます、
「タクシーで来たんですが、バス停が途中見えたので、5時ごろのバスの時間はわかりますか?」
カウンターの内側の机では
ピンクのランドセルが開けられカウンターより低い背の女の子がノートをいじっていました。
ご婦人は少し考えて、
うちの孫が今帰って来たところだから、3時と4時は20分ごろだけれど、
「5時はどうですか?」
分からないけれど、一時間に2本くらいと聞いて、
それなら30分ほど待てばバスは来るんだと安心して
自動ドアをくぐろうとすると、少し思い切った声がしました。
ここを五時に閉めるので、それからよかったら送りますよ、バス停まで。
お礼を言って、とても広く見える海浜公園の先に向かいました。
海洋公園の先端までいくと小さな白い海岸があり、
遠浅の海にあの青が岩壁から見るよりずっと透明になって広がっていました。
レストランから流れる音楽と波の音の中でリュックサックを整理していると、
ぽつぽつと冷たいものを数回感じました。
時間は4時、本降りにならないうちに帰ろうと来た道を戻ります。
この日は夜から雨の予報でした。
まだ空は明るいし、
声をかけてくれたご婦人のいる売店には戻りませんでした。
声をかけてくれたご婦人のいる売店には戻りませんでした。
帰り道の途中、タクシーを降りた穴のある鋭い岩の前を少しすぎたあたりから
雨が頭にかけた青いストールを湿らすようになりました。
さらに1.5キロほどあるバス停は思ったより遠かったのです。
少し不安になったころ、私を追い越した軽トラックから人が降りて、
遠目にもつやつやした黒い毛のダックスフンドを道路脇の草むらに放して
紐を握ってたたずんでいました。
「すいません!バス停までどれぐらいありますか?近いですか?」
500メートルくらいーっ!
「おおきにどうもっ」
それからしばらく歩くとエンジンの音が近づいてきて、窓からにゅっと紫の水玉のビニール傘が差し出されました。
もっていき!ねえちゃんバスか?!もう出るで。
さっきのダックスフンドのおじさんよりがっちりした体格でくりんとした眼のおじさんが
バスが出る大変だといった気勢で声を張り上げます。
私はバスを待つ時間を心配していなかったはずですが、それは大変だと思い
軽トラックに飛び乗りました。
バス停につき、おじさんも降りて時刻表を見て
あああ出た後だ、次は17分だ。
40分後です。構わないと言って板づくりのバスの待合室でストールをはずし、
傘はこのバス停に置いていくのでそれまで貸してもらうことにして、
おじさんと別れました。
バス停から大引漁港が見えました。借りた傘をさして
漁港の自動販売機であたたかいココアを買ってしゃがんでとりだしていると、遠くから
だいじょうぶ~?
と問う女の人の声がします。
振り向くと
タイトスカートの制服を着た女性が私に向かって、
さむいでしょう、中に入ってください、さっきの人はうちの組合長で、バスが来ないでしょう、どうぞ、
と呼びかけてくれます。
さあさあとコンクリートの漁港と同じ質感の建物の中に迎えられると
さっきのおじさんが机に向って座っていました。
事務員さんらしい制服の女性は、
うちの組合長は良い人だけどコワモテだから、吃驚したんじゃないかと思って。
組合長は、
バスのことを道で聞いたでしょう、あの人はツレで、これからバスに乗る人がいるって聞いたから。
そのあとどこから来たのか、どういう理由で来たのか、どこにどうやって帰るのか聞くと、
和歌山行きの電車に17分のバスだと乗継が悪いそうです。時計を見て少し考えてから、
おれ送ったげるわ。
組合長はコワモテだけどやさしいから、甘えなさいな。
おちょこ sake cup W68 H41mm 59g (sold out) Map
This Web Exhibition is a conbination of the place of bowl [google map],a story of bowl [blog spot] and selling [creema / the biggest handmade piece and arts online shopping site in Japan] on internet by Aiko Sanogawaya.
このWeb個展は器の場所 google map と 器の話 blog spot そして 販売 creema (ハンドメイド通販サイト) を組み合わせた、インターネット上の陶芸展です。