2015/05/13

休日書店青々堂 佐ノ川谷藍子器展



富田林の駅から山手に

江戸~昭和初期のふるい町並みが残り、

近年は保存されている地域「じないまち」があります。







「休日書店 青々堂」は年に一度、

古書フリマ「じないまち古書散歩」の日にだけ開きます。

いつも休日だから休日書店。






この本屋で生まれ育ったSさん。


うちの器で料理を出してくれる「自然食レストラン暮らし屋 」さんの常連さんで、

そこで私が個展をさせてもらうようになった5-6年前からのお付き合い。



お知り合いになってまだ間もない頃



「ほら~!」



と買ったばかりの私作の小さな植木鉢に可憐な花を植えて、



暮らし屋まで持ってきてくれたことが印象的です。






「良いこと思いついたかも~!」



と庭で取ってきた葉っぱを器の下にレイアウトしてくれました。




今度は器の後ろに年季の入った本屋のの踏み台を置いて、



おばあさまがこの日のために買っておいてくれた



白いお花を活けてくれました。







棚には「青々堂」が毎日開いていたころの在庫品と

Sさんと旦那さんの読み終わった本が並んでいます。









赤い表紙の台本は旦那さんが小学生のころ


テレビ局に観覧に行った時にもらったものだそうです。










奈良から来たならこさん。


今日は同じ青々堂で彼女の作る布雑貨「ソラハナ堂 」さんの展示もやっています。



柔らかくしたコーヒーの袋にしっかりした裏地を縫ったミシン大好きならこさんのトートバック。






ならこさんの染めた布小物も青々としています。





雨の午前中は二人とも手持ち無沙汰。



交代で付近のお店に遊びに行き、

Sさんの旦那さんが「お客さんが来たよ」と走って呼びに来てくれること数度。







おかげで蔵ギャラリー横の園芸店 ぶぷれ さんで

珍しいクレマチスとコウモリランを、




たびもぐらカフェ でカレーをゲットです。





雨が止んだ午後からは


お客さんがひっきりなしに訪れました。














ショーケースのレトロ飾りになっていた「プラチナ万年筆」に若い頃万年筆が好きだったという初老の男性が喰いつき、嬉しそうに当時のことを話したあと、一本お買い上げになりました。











ケースの上には昔の青々堂の写真が飾られています。





以前は表に壁が無く、軒先までところせましと



本や雑誌が並んでいました。











おばあさまが使っているお茶碗を見せてくれました。



そのお茶碗を見てSさんとお知り合いになったころ、

「母にプレゼントを」と

暮らし屋さんでお茶碗をお包みしたのを思い出しました。



もう5~6年前の作です。



「食欲がないときは藍子さんの器で食べるのよ。そうすると少し食べられるの。」












今もこの青々堂と繋がった母屋で暮らしているおばあさま。





言葉の純真さは少女のそれです。





片づけをしているとき、

おばあさまは朝に娘さんが飾ったちいさな花を

ショーケースに片肘をついて眺めていました。



「自然って何て美しいんでしょう。」





聞いていたのは私だけでした。



その素直さにオーバーに本当にそうですね!とも言えず、

何か気の利いた受け答えもできず、



ただ、んふふっと承認するように笑ったあと、



あの言葉にあいそ笑いでしか返せなかった

自分の日本人性に軽い自己嫌悪を覚えました。










また来年、「じないまち古書散歩」の日。



元気なおばあさまや皆さんと会えますように。