2013/03/21

そぶら山荘 Aさんの呼び出し 器展

Calling from Mr.A   Bowl Exhibition
 
 



「そぶら山荘 森と川の器展」では

蹴ろくろを持ち込んで製作していました。



 
 
蹴ろくろを置いた場所の後ろのあたりは

いつもミュージシャンさんのたまり場になっていて、


ギターの練習や新人ミュージシャンさんのための歌唱指導、

楽器の調整やライブの音合わせなどが毎日行われていました。
 

 
 
その場所でその日
 
ギターを鳴らしながら作ったばかりの曲を
 
ブラッシュアップしていたのはAさんでした。

 
ペンを片手により良いコードや歌詞を探しています。

 
私や顔見知りとお喋りしながらでも、手はギターから離れず旋律を奏でます。


「これなかなかいいな」


Aさんはある旋律を繰り返して、
 

「今日も  いつものように  ろくろける」


と歌っていました。

 

展示が終わってから6日後、Aさんから電話がかかってきて、

そぶら山荘で会うことになりました。
 
 

茶碗 bowl W128 H58mm 156g                  Map
 
 
 
米粉パンとカフェのそぶら山荘
 
幹線道路をそれて山に向かってどんどん細くなる道を進み、
 
ところどころにある水鉄バスのベンチはどれもほとんど朽ちています。
 
温泉の看板や小さな集落を過ぎ、渓流地に向かう矢印に進むと、
 
 
深く深く森に入っていきます。
 
 
 
 
 
 
森が根に含んでいる水の息もどんどん深くなり、
 
川の水音はけたたましくいつまでも同じ音程で
 
街育ちの耳を不安にさせます。
 
 


 
 
ガードレールやそぶら山荘ののぼり等の
 
街中に比べればほんのわずかな人工物に励まされながら、
 
1.5キロほど進むと、急に視界が開けます。
 
 
 
 
 
 
約束は朝11時、着いたのは9時。
 
ここの鶏「アローカナ」の卵かけごはんを食べて、
 
そぶら山荘で置いてもらっている作品を整え、
 
あたたかい薪ストーブのそばで新聞を読んでいました。
 
 
スタッフさんがご両親に贈られる器を梱包するために段ボールを探しに駐車場に出ると、
 
ワンボックスカーが入ってきてAさんのシルエットが見えました。
 
後ろのドアが勢いよくスライドして、顔立ちの似た女の子が二人でてきました。
 
 


 
 
私の誕生日は3月23日。



この出来事に感激したのはもちろんですが、


この歌には

むかし中学校の音楽室で一生懸命練習した曲の持っていた健康な旋律があり、

はぐくむ あふれる いとしさ はじける いつくしみ 

という美しい日本語のリズムに

器ができるプロセスが幸せ色にたとえられて、



メロディを通して全部がまさに自分の器に関連しているのを感じて、


聞くたび歌うたびにいろんな感情が刺激され、感情が開花していきます。
 


心の器   
 
<詩・曲 パンペーラ赤本>



今日も いつもの様に 轆轤を蹴っています

まだ見ぬ貴方を思って  はぐくむ  指先


 この器から 溢れる  愛しさ見えますか

 乾杯 するたびに  弾ける  私の思い


今日も いつもの様に     色付け するの

いつになると  幸せ色が   出るのでしょう


まなのパン屋さん  この「器」たち預けるわ

まだ見ぬ貴方が触れて 私を見つめてくれる


 この器から溢れる 慈しみ 見えますか
 
 乾杯 するたびに 弾ける貴方への愛


まだ見ぬ貴方を思って 色付け するの

いつになると 幸せ色が 出るのでしょう