ここ大阪南部の道路、臨海線沿いには20㎞ほどの区間に4つのショッピングモールがあります。
ひとつは有名ブランドの名前が並んだアウトレットモールで、府外からのお客さんも多く、観光コースとして中国や韓国からの方を乗せた観光バスが絶えず、数年ごとに増床を繰り返しています。
もうひとつのショッピングモールはお店の数は多くないのですが映画館とスーパー、それに産業フェアやコンサートが行われるホールが隣接しています。最も海に近いショッピングモールで、海を見渡せるレストランや結婚式場、海沿いの散歩道も伴った美しい風景があります。
一番新しいところは当初「西日本最大」と言われたショッピングモールで、大型複合スーパー、ファストファッション店、巨大なフードコート、デザイン雑貨、呉服店、家電量販店、映画館、ゲームセンター、アクセサリーショップ、ペットショップ、大きな書店と無いものを探すのが難しいところです。
そしてもうひとつ、
ここ「ショッパーズモール 泉佐野」は出来た当初は個性的な店が多く、
ちょっと「良い品」が買えるセレクトショップが並んでいました。
ところが周辺にショッピングセンターが増えるにつれて撤退する店舗が多くなり、セレクトショップが空いてパワーストーンや千円均一の腕時計が並び、婦人衣料の広いコーナーが空いて百円ショップが入り、コース料理もあるパスタ専門店が空いて298円のイタリア風ドリアが看板メニューのチェーン店が入り、めがね屋さんが入っていた場所が空いて半年以上白い板が張られたままになりました。
本当はショッピングモールがもうひとつあったのですが、一番新しいショッピングモールができてしばらく経ったあと閉鎖され、今は更地になっています。
ここ「ショッパーズモール泉佐野」は、そんな様子に地元の人にも何だかんだ言われながら、だからこそとても便利で快適な場所として好まれていているショッピングモールです。
以前は家族づれでいっぱいだったフードコートでは空いた机で将棋を指しあっているおじいちゃんたちや参考書を広げて受験勉強に集中している方、本来はたくさんの買い物に疲れて座るためのベンチに日がな一日本を読んでいる方がいたり、テラスなどでは高校生が何人か集まって物憂げに座り込んでこころゆくまでお喋りやおふざけに興じている。
みんな何らかの紛らわす時間を持ってここに来ていて、他のショッピングモールに無い風景が生まれています。私も時々、そんな中に溶け込んでいます。
店内はとても快適で自然光が取り入れられた店内は明るく、夏は弱めの冷房、冬は厚着でここちよい暖房でフードコートやベンチで本を広げ、調べたいことがあれば本屋で立ち読みで済ませます。
新聞なら一階のコーヒーショップに行けば3紙がそろっていますし、小腹が空けばスーパーか併設のベーカリーショップで何か美味しそうなものを買ってベンチに戻り、ちょっとしたものは百円ショップやドラッグショップで選んで揃えことができます。
これだけ便利でも人混みに煩わされることが無く、いつも清潔で客集めのための「しかけ」が店内のいたるところで試みられています。使われることのなくなった臨時駐車場で最近はフリーマーケットが開かれたり、モールでは付近の小学生が図画工作で描いた絵が何クラス分も張り出されたりして、買い物袋を持ったお母さんの前で自分の作品を指さす子供の姿も見られます。
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だから暑い日に本を読みに時間を持ってここに来てみて思いがけず気に入ったものを見つけたり、「しかけ」に引っ掛かって千円札を数枚取り出すと、何かすごい施しものをしたようなこの大きな建物に受け入れられたような気持ちになることも、独特の快適さと人々の風景を作っている原因かもしれません。
※これはインターネット上のWEB個展です。