朝日新聞2009年9月22日朝刊
色形多彩 陶芸骨壷
泉佐野の作家・佐ノ川さん個展
日用に使い「向き合って」
多彩な色や形をした骨つぼの陶芸展が、和泉市池上町4丁目の府立弥生文化博物館で開かれている。泉佐野市の陶芸家佐ノ川谷藍子さん(29)が「弥生時代の独特な死生観を伝えている博物館に並べ、多くの人に死を前向きにとらえ直してほしい」と初めての個展を企画した。26日まで。
佐ノ川谷さんは、大阪芸術大学美術学科で絵画を専攻していたが、4年生の時、室町時代の備前焼のかめに魅せられた。「名も無い昔の農民が、五感を研ぎ澄ませてつくった完成度の高い器に衝撃を受けた」。専門学校や陶芸教室などで陶芸の基礎を学び、泉佐野市内に05年、窯を設けた。
主に作るのは茶碗やマグカップなどの日用品。しかし、約2年前、インターネットを通じて知り合った僧侶から、骨壷の製作を依頼された。「死は日常にあり、太古の時代から人間が向かい合い続けてきた。骨壷は究極の『日用品』だ」と快諾し、制作するようになった。
美濃から取り寄せる土や上薬を使い、電動式ではなく、けって回転させる「ろくろ」で時間をかけてつくる。生前にはピアスや砂糖入れ、花びんなどに使ってもらい、最後は自身の骨を入れてもらう想定。内側にも白を基調に青や黄などの色をつけ、花や雲などの柄も描いている。
陶芸展では、高さ10~30㌢の44点を並べている。同博物館エントランスホールで午前9時半~午後5時(入館は午後4時半)。24日は休館。入館料は、一般600円、65才以上と高校、大学生は400円、中学生以下無料。(岡本玄)
読売新聞2009年9月17日 朝刊
◆「佐ノ川谷藍子 骨壺(こつつぼ)展」
26日まで、大阪府和泉市の府立弥生文化博物館(0725・46・2162)で(24日は休館)。自分の葬式について自らプロデュースする「自分葬」が増える中、こだわりの約30点を展示。
佐ノ川谷さんは大阪芸大卒。現在、泉佐野市の空き店舗に設けた工房で制作中。今回の展示について、死を日常にあるもの、太古から繰り返してきたものとしてポジティブに感じる展示に出来ればと思います」とコメントしている。入館料は一般600円、65才以上・高校・大学生400円。特別展「大阪の宝物-出土品が歴史を語る-」も鑑賞できる。